「ああ!ごめん!!拗ねないでくれよ!」
「………うるさい。」
「もー…ごめんってば。」
それでも和希は読書をやめないから、手から本を奪い取る。
「………返せ。」
「嫌だ。なぁ、なんで急にクリスマスとか言い出したんだよ?」
「………別に。」
じーっと和希の目を見つめる。
俺は知っている。
和希は目を見つめられると弱い。
案の定、和希は口を開いた。
「……お前が毎年楽しみにしてるから。それに去年……」
去年…
去年のクリスマスは確か…
思い出した!
イルミネーションを見に行く約束をしていたのに、和希に急なバイトが入って……
その上、プレゼント用意してたのも俺だけだったな…。
ま、後日くれたけど。
「………けっこう落ち込んでたみたいだから。」
なんだ。
“クリスマスなんて何度もある”とか言って、気にしてくれてたのか。
「やばっ…どうしよう。」
「?」
「やっぱ俺、和希のこと超好きだ!」
パチパチと二、三回瞬きをした後、和希は極上な笑顔を見せた。
「……何を今更。で、どう過ごしたい?」
「和希といれるなら、何だっていいや。」
素直な思いを口にして、 キスを交わす。
「……裕真の19回目のクリスマスと言う時間を、俺にプレゼントしてくれるか?」
「うーん…和希からのプレゼントは?」
「………俺の時間。」
「喜んで!」
今年のクリスマスは、最高の恋人から最高のプレゼントを貰えるみたいだ。