立ち上がった俺の手を、和希が力強く引いた。



「邪魔すんなー!風邪引く!!クーラー切る!!」
「……ダメ。俺が暑いの苦手なの知ってるだろ?」
「俺が寒いの嫌いなのも知ってるくせに」
「………じゃあ」



そう言って、和希の温かい唇が合わさった。



「………暖まれば問題ないんだろ?」



弧を描いた唇。

その温かな体温が首に押し当てられる。


「………ズリーよ、和希」
「……ん?黙ってろって。すぐ暖まる」





効きすぎるクーラーは、俺たちに仄かな火をつけた。