「っあーーーーつーいーーー!」

智子が叫ぶ横で私は、記録を書き留める。私が所属する陸上部は、毎年インターハイにも出場するような強豪チームだ。

「智子、あんた叫ぶ元気あるなら後グラウンド15周!」
女子陸上部のキャプテンがいう。
「ちょ、まって下さいよ〜。やっと後一周なのに〜。」

人当たりがよくて、明るい智子は先輩とも仲がいい。
それが羨ましく感じる私は醜いだろうか。
智子との話も終わり部員に指示を出し終えたキャプテンが、
「りん!記録次、短距離ね。」
と私にも指示をしてくれる。

「はいっ!」

なんて大きな声でハキハキ言えたらどんなに良いだろう。

「‥はい。」
私にはできない。
やる気がないとか、元気なが無いわけではない。
でも、返事さえ出来ない私は、きっとやる気も元気もないのだろう。

開き直っている自分にイライラする。


「はぁ…」