高校生はじめての梅雨は大変だった。

「あー、もう最悪だよ…。」
クラスメートの声に顔をあげると、
「ねぇ!!りんもそう思わない?」
私に話を振られる。
クラスメートの浜口智子は、自分の髪型が湿気のせいでうまくいかず落ち込んでいるらしい。


「…私天パじゃないから分かんないけど、湿気はやだね。」

智子は私の回答に納得できなかったらしい。微妙な顔をして
「…りんは冷たいな〜」
私が何と言えばいいか困っていると

「ほーら、我が儘いわない!りんちゃんがこまってるでしょ?」
私の上から声がした。振り向くと、そこにいたのは私が見たことのない子だった。

「え?なつとりん知り合い〜?」
「…私知らないよ。」

私の即答になつと呼ばれる子は一瞬驚いたような顔をして、すぐにニコッと笑うと

「私、三組の前風なつ!よろしくね。」



これが私達の出会い。
いつも楽しそうに笑うなつは、友達から慕われて先生から信頼されて、
私と真反対だった。