邪悪な森に閉じこめられて、
自由を奪われてしまう。
たとえ多くの者を犠牲にしようと、
勝利の女神は羽ばたかない。


倒れたカイト、無力のハイドとジキル。俺達は多数の怪我人を運びながら、出口を目指した。
カイトはラサレナが抱えて、エルビスと俺はアルルシスを見守りながら走る。
区別のつかない森の中は、迷い迷路のように複雑だった。
一度、来たことがあるのだが、あの時とは違う。
俺は辺りを気にしながら探した。

「見つけた‥!」

「リュウ、ここって‥」

「あぁ、エルビスと出会った小屋だ」

なんと、あの小屋を見つけ出した。
兎に角、静かに近付いてドアノブに触れた。
中はとても静かで、誰も居なかった。
せっかくだから七人兄弟の子人に会いたかった。

俺は中に入り、カイトをベットに寝かした。

「こうして白雪も看病したな‥」

テキパキと薬をつくり、カイトに飲ませる。

無論、皆は唖然していた。
何故こんな小屋を知っているのかと。
呆れながらラサレナは外に出て行った。
その後を追っかけるようにアルルシスが出て行った。