桜舞い散る季節、私は彼と出会った。

まるで映画のワンシーンから抜け出してきたような姿に、目を奪われたのを覚えてる。


切れ長の瞳、通った鼻筋、少し小柄だけど筋肉質の体。




そして、





「……ねぇ、時代劇のオーディションにでも落ちてきたの、あんた?」
「は?じだいげき?おうでしょん?何言ってやがる。ここ、どこだよ?」





彼は着物に身を包んで、怪訝な顔をする。
結い上げた豊かな黒髪が吹き込む風と一緒に踊っていた。