「記憶喪失か?」
「ちゃんと記憶はあるよ」
「んじゃ、妄想トリップ?」
「んなわけないでしょ」
「ただの勘違い?」
「それじゃ説明つかない事あり過ぎ」
「…………タイム…スリップ」
最後に小さく言った由良の言葉が一番しっくりくると思う。
だけど頷く事はできなくて、何も言わないあたしに由良は息を吐いて空を仰いだ。
「マジかよ…
信じらんねー…」
あたしだって信じられない。 信じたくもない。
だけどそう考えると全ての辻褄が合う気がする。
さっき学校で見てきたことも。自分に関わるものがここに存在しないということも。
ここに来る途中も見たことがない店があった。
逆に、いつも沙希と行くファストフード店はなかったし、あるはずの店がいくつかなくなっていた。
歩く人たちのファッション、店先で流れていた曲もあたしの知るものではない。
全体的な雰囲気はそのままに、けれど全く知らない街を歩いてるような感覚がした。
とにかく そう、
きっとあたしは13年前の今日にタイムスリップしてしまったんだ。

