「千聖は1000年に1度の燃える様な大恋愛する、だって!!」


「は?」



新学期初日の朝から何を言い出すのかと思えば。

春ボケですか?



目の前で怪しい本を広げる友達の沙希に呆れた目を向けるけど、そんな事はお構いなしに無理矢理あるページを指で示し見せられた。



「ほら! 千聖の今年度の恋愛運! 見て! めちゃくちゃ良いよ!!」



あぁ、好きだよなぁ沙希。こういうの。


っていうか1000年に1度って……どんだけ?



「馬鹿馬鹿しい」


「これすっごく当たるんだって〜! 千聖知らないの!? 今かなり注目されてる占い師なんだからぁ!!」



本の表紙に載ってる胡散臭いオバサンの写真をパシパシと指差しながら興奮気味の沙希。

その横に貼ってある値札のシールの方が気になるけど?


3800円ってマジ…?

無駄遣いもいいとこでしょ。 インチキ占い師にぼったくられてる沙希は既に運悪いんじゃないの?



「あっほらし。よく買うね、そんなの」


「でもでもでも! あたしのとこ当たってるんだよ! えっとね…待って、えーっと…」



ペラペラとページを捲り始める沙希の傍ら、窓の外に視線を移した。



去年とは違う校庭の景色。

1階上になっただけなのに、まるで違う場所にいる感覚に新鮮な気分になる。


奥ににある1番大きな桜の木は、ほんの少しのピンクを残してほぼ葉桜となり、鮮やかな新緑を見せていた。