この長い長い夜を、
私はひとり、たえている。


夜明けを待ちながら、不安に震えながら。










鳴らない携帯電話を枕元に投げて、ベッドに倒れこむ。
壁にかかった時計がちらりと目に入った。

針がさすのは、0時10分。
時間は容赦なく進む。ゆっくりと。
しかし、確実に。


「馬鹿らしい。」


誰に、ともなく呟く。
予想外に吐き出すような声音になって自嘲の笑みが漏れた。



『声聞きたい。連絡待ってる。』



可愛げがないことは十分承知。
それでも、自分なりに譲歩してつむいだ素直な気持ちだった。
躊躇い躊躇いメールを送り出してから、2時間が過ぎていた。