「おう、瑞奈!」

考えれば考えるほど暗闇に堕ちていくわたしに声を掛けたのは、国原だった。

さすが空気の読めないやつ。


でも、今はこうやって誰かと話していた方が気が紛れるかも知れない。




「そういえば、お前沢木といい感じだったな!やっぱり昨日何かあったんだろ!?」

やっぱ、暗闇に堕ちていく方がマシだって思った。



昨日、わたしは『どうだった?』とメールをしてきた国原にも、もう一人の計略者、お姉ちゃんにも嘘をついた。


"結局キスも何もなかった。ただ、ほんの少しお話しただけ"ということになっている。



「ほんとに何でもないって言ってるじゃん!ばか国原っ」

いつものように言い返せただろうか。



どうか、これ以上聞かないで―…。