「恭介はあんたをかばって死んだの!!アンタが死ねば良かったんだよ!!」
杉崎 葵がそう言い終えると、今まで何の反応も示さなかった楓香が立ち上がって、走り出した。
ちらっと見えた楓香の横顔は、目が赤くなっていて、今にも泣きそうな顔だった。
「おいっ!」
俺が呼び止めるのも無視して楓香はあ部屋を出た。
おいかけよとしたけど、俺は杉崎 葵の前で止まった。
「俺は、歌うことに資格なんて存在しないと思うよう?」
それだけ言うと、俺はまた走り出した。
くそっ。
俺、楓香の事知ったように思ってたけど、何も知らなかった…。
ライブ会場の外に出ると、楓香の後ろ姿が横断歩道を渡ろうとしているのが見えた。
って、アイツ何してんだよ!
赤信号じゃねぇか!!!
キッキィィィィィイ───!!!!!!!!
「っ!?楓香!!」
大型トラックにぶつかろうとしていた、楓香の体は後ろに傾いて倒れた。

