「俺はさ…、楓香の歌が聞きたいからアトリエに行ってたんだよ?」


「え…?」


こんなことあの時恭は言ってなかった。


そして、過去形だったのがとても心に残った。


「だから、歌うことを恐れるな」


「な、に言ってるの…?」


「俺は、楓香が歌う歌が好きだったんだ」


そう言って、恭は道路の真ん中へ向かった。