「今日は、とりあえず楓香の練習に付き合うぞ」


「おう!」


「ボーカルがダメだったら、全部ダメになるからな…。楓香、頼んだぞ」


「まかせて!私、頑張るから」


私がそう言うと、愁は満足そうに頷いた。


「これ、楽譜だから」


愁は私に、ホチキスで留められた楽譜の束を渡してきた。


…多くない?


これ、全部覚えるの?無理言うなよ。


「練習するぞ」


「「「うっし!!」」」


みんながそれぞれの位置についた。


私も、その真ん中へ向かう。


今から歌うと思うと、手が震えてくる。


「まず、俺等がメロディーを流してみっから、楓香は音取りをさらっとしといて」