「ああ」


倒れた璃子の心臓が狙われた時、尚哉がかばい腹部を刺されたのだ。


それを言うつもりはなかった。


自分はヴァンパイアで、こんな傷はたいしたことはないはずなのだが、壁を背に座る尚哉も腹部の痛みに耐えていた。


「覚醒中だから辛いんだな」


普段なら1時間ほどで治る傷も、教会の中ではほとんど治癒せずに出血している。


「……あの男……たち……は……」


「教会には入ってこられないから安心しろ。しかし、お前がここに居られる時間は限られている。いつから変化があったんだ?」


「……よ……る……」


どのくらい経っているの?


外はまだ暗いみたいだけど……。