誘惑のクラン(血族)

「くそっ! 病院へ行く時は満タンに近かったのに!」


ガソリンを抜かれたか、細工をされ走るうちに抜けていったのだろう。


車が停まり、碧羽が悪態をついているのだが、隣の璃子はそれがわからないほどうつろな状態だ。


碧羽は車の外の様子を聴覚で確かめる。


外に数人のヴァンパイアの気配を感じた。


そっか……璃子さんをヴァンパイアに覚醒させるだけじゃ不安で、殺そうとしているんだ。


車を出たら襲ってくるだろう。


「璃子さん、璃子さん、聞いて」


碧羽は璃子の両肩を掴み、自分の方に向けさせた。