「香織、疲れただろう? 早く休んだ方がいい」


優真の腕が、香織の肩をそっと支えるように触れる。


璃子は仲の良い兄妹にほーっとため息を吐いてしまいそうだった。


美男美女――ふたりはその言葉にぴったりだ。


「いいえ、車の中でゆっくりしましたから。もう少し璃子さんとお話したいわ」


香織は肩に置かれた優真の手の甲に、自分の華奢な手を重ねる。


「では、ワインを飲んでから寝るといい」


香織をソファに座らせた優真は、サイドボードの戸棚を開けて長い指でワイングラスを手にした。


「璃子さんは学生さん?」


「はい。大学生です」