「はぁはぁはぁ」
赤子を抱いた女性は息を切らしながら走っている。
「おい、あの女はどこにいる」
「わかりません」
剣をもった衛兵たちがその女性を殺気じみた様子で探していた。

「この子は・・この子だけでも・・キャッ」
ドサッ 女性は泥濘に足を滑らせこけてしまう。
「なんで、なんでこんなことに・・」
泣きそうになる気持ちを必死に抑え顔をあげる。

差義理孤児院

目の前の建物にはそう書かれていた。