魔王と女神のシンフォニア

ジリジリジリジリ!

けたたましい音が部屋に響く。
「んあっ!?」
あらかじめ目覚ましだけはセットしていた。
目覚まし時計は7時半を指している。寮の朝食は8時からだ、まだ30分ほどある。寝坊は回避できたらしい。


ガチャ

ドアが開きアリスが入ってきた。

「あっ 差義理さんおはようございます。」
太陽のように光輝く笑顔で挨拶をしてくる。

「あぁ おはようございます。」
反射的にこちらもたじろぎながら挨拶を返す。


すると、アリスの顔が急に心配そうになり、
「差義理さん、浴室で今朝倒れていたのですが、何かあったのですか?」

そういえば昨晩、記憶が途切れたのは浴室だ。でも、今ベッドにいるということは・・・彼女が運んでくれたのだろうか。

落ち着いて出来事を考える。

アリスのバスタオル一枚の姿を見てしまう→ずっと男と勘違い→浴室で寝ているところをわざわざベッドに運んでもらう。


・・・。
額に一筋の冷や汗が通る。何か!何かないか!挽回することは!ハッ!

「あっ あのよろしければ朝食をご一緒にどうですか?」

これしかない。きちんとエスコートして朝食を終えるのだ。寮の朝食というところが気にかかるがこの際そんなことも言ってられない。

すると、彼女は笑顔は絶やさず、しかし、少し困ったように口を開く、

「すみません。もう私、朝食を終えてしまったもので。」


終わった。計画は晴れやかに散った。だが、

「朝食は8時からのはずじゃ・・・」
そう、朝食は8時からのはずなのだ。やはり、嫌われてしまったのだろうか。

「いえ、あの、もう9時半なのですが・・。」


・・・んっ!?9時半!?

ぱっと思い付いたように部屋に設置されている時計を見る。

9時半


目覚まし時計


7時40分

どうやら目覚まし時計の時間があっていないようだ。

そういえばアリスも服装もしっかり整えている。

そして、学園は10時からだ。