魔王と女神のシンフォニア

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昔、まだ僕が小さいころだった。
ただ、一緒の孤児院の女の子と遊びたいだけだったのだが誤ってその女の子を泣かしてしまった。

「ごめんね」
必死に謝るが女の子は泣き止んでくれない。
困っているところに巫女姉、差義理巫女がやって来た。

この状況を打破してくれるのだろうか。そんな淡い期待も巫女の顔を見ると一瞬で砕けた。

顔は・・顔は笑っているのだが、目が全く笑っていなかった。

冷や汗が出てくる。
本能がこいつはやばいと語りかけてくる。

「歩」
「はい!」
思わず敬語になってしまう。

「女の子はね。とぉぉってもデリケートな生き物なの。わかる?」
「はい!」
少し意味はわからないが返事をしないと本能的に危ない気がして返事を返す。

「泣かすなんて論外。次やってみなさい。もしも次に女の子に粗相したなんてことがあれば・・・」

ゴクリ 鼓動が自然と速くなる。汗も止まらない。そして、したたかにかつ冷酷に次の言葉が巫女の口からはっせられる。

「・・・殺すわよ」

差義理巫女の闇の掟 第一条 [女の子に粗相したら差義理巫女が殺す。死にたくなければ、死ぬほどその子に謝れ]の誕生の瞬間にだった。

巫女の言葉が発せられるのが終わるころには女の子も泣き止んでいた。泣き止んでいたというか・・・まぁ ご想像におまかせしよう。

僕は、巫女姉がその場からいなくなるまで動くことができず、冷や汗が止まることはなかった・・。