魔王と女神のシンフォニア

寮長の名前は相良 藍香。自称 寮のアイドルらしい。思わず歳を聞きそうになったが殺気じみた眼光でそれを止められた。

「まぁ、今日は仮の部屋だから」
そう言われて部屋の鍵を受けとる。なんでもきちんと属種が決まってから割りふられるらしい。

「ここか」
寮はすべて二人一部屋で先に入ってるであろう人に挨拶しようとノックする。

・・・ノックが返ってこない。
「しっ・・失礼します」
恐る恐る鍵を開けゆっくりと入るとシャワーの音が聞こえた。
まぁもう夜も遅いし風呂にでも入っているのかと思い空いているベッドに腰かけて反対側のベッド付近をみると絶句した。

「・・・ッ」
女性物の服やら何やらが少し荷物からでていたのである。

女装趣味のやつと一緒の部屋になってしまったのだろうか。
彼がこう思うのも寮の規定を考えてのことであった。男は男同士の部屋になり、女は女同士の部屋になる。
だがまぁ、人の趣味と言うものは人それぞれであり趣味だけでその人を判断すると言うのはやはり・・・。
ここでふと昔の風景が思い出される。

「いい?歩。人を見かけだけで判断するのは止めなさい。」
こう言っているのは院長の親でもあり姉のような存在の差義理巫女である。
「自分の目できちんと見て確かめてその人がどのような人かをきちんと自分が決めるのよ。差義理孤児院の掟その2[人を見かけで判断するな]よ。わかった?」
「わかった!巫女姉!」

少しして空想から帰ってきて
「そうだ。見かけだけで判断しちゃだめだ。女装趣味の男なんていくらでも世の中にいるさ!」
小声で根拠のないことを呟き決意を固める。

そんなこんな考えているとシャワーの音が止まりゆっくりと浴室のドアが空いた。