魔王と女神のシンフォニア

「誰ですか!?」
少し声を荒げながら言う。
しかし、何も返答は返ってこない。
そして、その人物はゆっくりと姿を表した。

「・・・歩さん?」

その人物は歩だった。しかし、様子がおかしい視線がうつろというか、真っ直ぐみていないというか。

歩も私に気付いたのか、私に顔を向けてパッと顔を明るくする。

「あぁ アリスさん!アリスさぁぁぁん!」
「えっ!?きゃあ!」

アリスは歩にベッドに押したおされてしまい、身動きが取れなくなってしまった。

「わざとじゃ!わざとじゃないんだよぉ!」
歩は急に泣き出す。

「何を言ってるんですか?・・・んっ?」

クンクン

何だろうこの匂いは・・・まさか!?お酒!?

アリスは歩が酒臭いことに気付き、

「歩さん?もしかしてお酒飲みました!?」
「うぅ ルビィとフェリスに疲れが取れる秘薬飲まされたぁ」

あの二人のせいかとアリスは解釈する。
ふと歩の手に力が入る。

「んっ・・・」
吐息が少し漏れる。

「目覚ましを止めようと思って、手を伸ばしたらアリスさんがいて・・・」
どうやら数日前の朝のことを話しているようだった。

「わかりました!あのことは許します!許しますから!」
半ばがむしゃらに言う。すると、歩の顔は向日葵のような笑顔で、
「本当!?」
と言ってくる。
そんな顔を見たことがなかったので思わず少し顔が赤くなってしまった。

「本当ですから!そこをどいてください!」
誰かが来たらこの状況をどう捉えるか・・・無論いい方向には取ってくれないだろう。

「あと・・・あとね・・・」

「何ですか!?」

歩はいいにくそうに口を開いた。