砂の城


レイも、家族はいない。

覚えている最初の記憶は孤児院にいた時。

院長に優しくレイと呼ばれた記憶。
院長が、レイの母親であり、他の子供達と仲良くできなかったレイにとって、ただ一人の家族だった。



「レイ、ごちそうさま」
「あ、うん。お粗末さま」

懐古していたレイはシオンの声に呼び戻される。

「あ、食器洗ってね」

そのまま席を立ったシオンにすかさず告げる。
これもレイの決めたルールのひとつ。
孤児院では、自分の食器を水につけるのがルールだった。
レイの家はあの孤児院であり、レイの家の基準はあの孤児院の基準でしかない。


「レイ、大丈夫?」