ガヤガヤとうるさいくらいに音が溢れている。

「おい、小娘。邪魔だ、どけ!」
体格のよい、髭をたくわえ男が、シオンを怒鳴りつける。

「すいません」
小さく言い、道を空ける。

彼は、ここの集団の実質的リーダーだ。
逆らうわけにはいかない。
「おい、娘。今日の収穫はなんだ」

「猩々緋のマント」
逆らうわけにはいかないが、
やはり嫌いなものは嫌いだ。
反抗的な態度をついとってしまう。

男は、シオンの手からマントを奪うとしげしげと見つめた。

「猩々緋のマント?どうせ、パチモンだろ」
ガハハと、下品に笑うと周りもそれに追従する。

ペッと唾を吐き、マントを投げ捨てた。

慌ててシオンがそれを拾う。

「…覚えてろよ」

彼らが聞こえない距離でにしか言えない自分に
ひどく腹がたった。