携帯電話の中に眠らせたその人の連絡先は 私の想像とは違いはるかに早く目を覚ましたようだ。 会社の最寄り駅に着いてから、 いつもは携帯のスケジュール管理をここで再確認する。 それから硝子張りの今流行り風のオフィスビルに出社する。 それが、私が社会や会社に慣れたころに作った自分ルールだ。 今日もいつもと変わらないはずの今日を過ごしているはずだった。 心の準備ができるより早く、私の足はその敷居をまたぐことになってしまったようだ。