この日を境に、僕と彼女はあまり顔を合わさなくなった。それは不仲になったわけではなく、中間テストがあるからだ。そんなある日、僕は久しぶりに彼女と話した。


「久しぶりね。元気にしてた?」


「うん、元気。君は?」


「あのね、貴方は曲がりなりにも私の彼氏なの。彼氏が自分より馬鹿だったら嫌なのよ私。」


「うん。そうだね。」


放課後の教室に1人佇んでいた彼女は、僕を見ると不機嫌そうに眉をひそめてから話し始めた。


「だからね。次のテストの順位が私より低かったら、別れましょ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「聞いてるの?」


「うん。聞いてるよ。分かった、頑張る。」


「良い子ね。それじゃあ、次会う時はテストの順位発表の時ね。バイバイ。」


彼女は笑みを浮かべながら教室を出て行った。この高校は珍しくテストの点数を順位にして名指しで張り出す。彼女は、いつも上から数えて5本の指に入る順位にいる。僕は、中の下・・・。


「う~ん・・・まいったな。」


これからは勉強を真面目にやらないと。それに、彼女は僕の事を彼氏と言ってくれた。その言葉を裏切らない為に頑張らないと。



「というわけで、勉強教えてくれない?」


「はぁ?お前・・・いくらなんでも、今から勉強しても遠野江の順位を抜くなんて無理だ!」


次の日の昼休み、僕は友人の竜二に頼んでみたんだけど、いきなり無理と言われてしまった。ちなみに彼も頭が良く、遠野江さんと同じ位の順位をいつもたたき出している。


「うん、でも頑張るから。教えてよ。」


「はぁ・・・・仕方ねえな。なら羽合も誘って勉強会でも開くか。あいつにも頼まれてるしな。」


こうして僕と竜二と羽合は、僕の家で勉強合宿を行う事になった。