空より青い

「え？あ、ごめん。でも、僕もここがお気に入りスポットなんだけど・・・。」


「ねぇ、早く失せてくれない？」


僕の声が聞こえないのか、それとも聞こえないふりをしているのか。彼女は言い放った。


「でも・・・・。」


「でも・・・なに？」


やった、会話が成り立った。好きな女子と話せると身も心も満たされる気分だ。これでファーストコミュニケーションが告白という事は無くなった。竜二のアドバイスが役に立ったのだろう。


「なに？何も無いの？だったら早く消えなさいよ。」


会話を重ねる毎に言い方が冷たくなっているのは気のせいだろう。でも、彼女を怒らせるのは嫌なので、早めに本題を切り出すことにした。


「一目見た時から貴女の事が好きです。僕と付き合って下さい。」


誠心誠意込めて頭を下げた。


「ここから飛び降りてくれない？」


答えはYesでもNoでもなく、Deadだった。通算7度目の敗北。ラッキーセブンだ。きっと良い事があるだろう。生きてる内にあるといいなぁ。


「ねぇ、早く。」


彼女が早く死ねと催促してくる。借金取りの取り立て屋が彼女だったら喜んで腎臓を売るのに。


「ここから飛び降りたら、付き合ってあげる。」


「え？」


「二度は言わない主義なの。」


「もう3回言ってるよ。」


「やっぱり止めようかしら。」


ああ、やっぱり僕は彼女が好きなのだろう。僕は屋上のフェンスによじ登り、彼女の方を向いて・・・。


「やった～、いやっほぅ！」


屋上からダイブした。