空より青い

「そう、残念ね。」


彼女は特に表情を変えること無く、部屋を見渡している。


「ねえ、そんなに見渡してどうしたの?」


「えっ?いや、なんでも無いわよ?」


彼女は珍しく少し慌てた様子で僕から顔をそらす。というか元から僕の方を向いていなかったので、僕を視界から外すために後ろを向いただけだが。


「そういえば、学校は?テストはどうしたの?」


「ここに居るから出来るわけないじゃない。」


「うん、そうだよね。」


彼女は僕のせいで、テストが受けられなかったようだ。悪い事をしてしまった。


「ごめんね、僕のせいでテストが受けられなくて。」


「貴方が謝ったところで、私のテストの点数は上がらないわ。」


そう言って彼女は台所で何かモゾモゾしている。


「モゾモゾとは失礼じゃない?」


振り向いた彼女の姿は、クマさん柄のエプロンを身につけていた。


「ここに・・・天女がいる。僕を迎えに来たんだ。」


「何?それって、私の料理が殺人的に不味いって遠回しに言ってるの?」


「そんな事言ってない・・・って、料理!?作ってくれるの!?」


彼女の手料理が食べれるなんて死んでも良い!


「死にたくはないけれど、まだ食べてないし。」


「死なないわよ。冷凍ものだし。」


「うん。冷凍ものでも君が作ってくれたら嬉しい。」


彼女は「あっそ。」とって台所に向かった。照れてくれているんだろうか。