私は化学準備室を出た。

こんなに穏やかな気持ちでいれるのは久しぶり・・。

少しひと呼吸置いてから足を進めだした。


「あすか先輩・・」

聞き覚えのある声に呼び止められた私は後ろを振り返った。

「純平くん・・」

また私・・自分のことしか考えてなかった・・。

純平くんにハッキリと言わなくっちゃいけない・・。

逃げないで・・ちゃんと・・。


「・・久住先生・・転勤なんだってね・・」

「あ・・うん・・」

突然純平くんは話を切り出した。

純平くんがふとニヤッとして私を見た。

「それって、オレにもまだチャンスがあるってことかな・・?」

「え・・!?」

何してんの!?私ってば・・!

早く言わなきゃ!



「・・なんてね・・」

「え・・・」

純平くんがそんな風にあきらめたような言葉を口にした。

「純平くん・・・」

私は純平くんの目をオドオドとしながら見た。

純平くんはそんな私を辛そうに見る。




「おい!!優!!」

後ろを向き廊下の端に向かって純平くんが突然優ちゃんを呼んだ。