「セ・ン・セ」

「・・・・・神崎・・・」

ゲ・・ロコツにイヤそうなカオ。

「そんなイヤそうにしなくてもいいじゃない」

「イヤそうじゃなくてイヤなんだ」

ムッ。

「でもスキだからね、先生」

私はひとまず黙ることにした。

その場所はだれもいない渡り廊下。

さっきの彼はこの私立陽明高校の先生、久住和志。

私、久住先生が好きなの

ただいま猛アタック中。

・・・と、私は神崎あすか、16歳。高校2年生。

先生は1年前新任としてきた只今23歳。

私、実はそれより前から先生が好きだった。

残念ながら先生はいつも無視だけどね・・・。

「あすかーーー」

そう呼んでこっちにくるのは私の親友、沙都。

「沙都ーーー」

「なにしてんの??放課後に・・・」

「・・・・・」

「ねぇ、おにーちゃん?」

「にっ、にーちゃんってよぶなっ」

「そんなこといったって私も久住裕子の子供なんだもん」

そう、私の親友は久住沙都。・・・先生の妹なのだ。

「まったく・・・うるさいんだから」

「てめー・・・沙都」

「・・・・」

私っていったい・・・。

「そうだ、あすか今日ウチ泊まりにくるんでしょ?」

「うん」

「・・・・・・」

先生はいや顔をしながらスタスタと歩いていった。

「あーーーーなにがいいんだろ・・・あんな男。私はゴメンだわ」

「だって、沙都。かーっこいいんだもん」

「ゲーーーーっ、どこがーー信じらんない・・・」

信じらんないのは沙都の方よ。

どこをどうみたら先生よりイイ男がいるってのよ。

んんーー沙都も先生とおんなじキレのある目もってるから自分をみてるみたいなのかなー。

「しかし長いよねー、あすかがお兄ちゃんのこと好きになって・・・もう3年目?

中学のときからだもんねー」

そうそう、あれは入試前に沙都の家にいってその帰り玄関のところで顔を合わせただけだった先生
はそのとき「いらっしゃい」って言ってくれた。