「あの…こはく先生?」

虹華が、ビーチパラソルの下に座っているこはくに声をかける。

「ごめんなさい、先生に荷物番を押し付けて、私達だけ海水浴楽しんじゃって…」

「あら、いいんですよ」

恐縮する虹華に、こはくは瞳を細めた。

「僕も海は好きですから。妊婦だからって家の中に閉じこもりきりなよりは、こうして皆さんがはしゃいでいる姿を見ている方がずっと楽しいです」

「でも…先生だけ泳げないし…」

尚も表情を曇らせる虹華に。

「ねぇ虹華さん」

こはくはニッコリ微笑んだ。

「潮騒やウミネコの鳴き声って、胎教にいいと思いますか?」