校舎を素早く駆け抜ける人影。

エージェントならではの身のこなしで、アリスカ・テフレチェンコは物陰に隠れた。

周囲を油断なく見回し、人目がない事を確認して。

「……」

ポケットから出したハンカチを制服の胸元に突っ込み、谷間の汗を拭う。

まっ、はしたないわねロシア娘ったら!

そりゃあコソコソ隠れる訳である。