わたしのおはなし

わたしのたからものは、おともだちです。
なぜかというと、おとうさんや、おかあさんも、「ともだちはじんせいのたからものだ」ってわたしにおしえてくれたからです。
たしかに、つらいときや、かなしいときは、おともだちといっしょにいると、ちょっとだけらくになりました。
たのしいことやうれしいことは、ひとりのときよりなんばいもたのしくて、うれしくなりました。
たったそれだけのことですが、わたしにとって、いちばんたいせつなおともだちは、わたしにとっての、たからものです。
だから、わたしは、これからもおともだちをなくさないように、だいじに、だいじにしていきたいとおもっています。


母から貰った鉛筆は芯が柔らかすぎて、筆跡の強いわたしには少し使い難く、削りすぎるとすぐにぽきりと音を立てて折れてしまっていた。
覚えたての平仮名で拙く、それでも一生懸命に綴った文字は力強く、生命力に溢れていたのをよく覚えている。
しかしそれは、今になって読み返せば、どこか精神のいかれた狂人が書いた、気味の悪い執着心さえ感じられるかもしれない。
恐らく、それもあがなち間違ってはいないのだろうと、足元に転がった浅黒く汚れた麻袋を眺めながら、酷く冷めた思考で淡々と思う。
わたしは、昔からともだちが好きだ。
気兼ねなく挨拶を交わし、他愛ない無い会話をし、時間を共有し、喜怒哀楽を分かち合えるということ。
多くの人が当たり前に手にしているであろうそれ。
欲してすぐに手に入れることが出来る代物ではないということを、一体どれだけの人間が常に意識しながら生きているのだろう。