「おお、お前わからないのか?」

先生だった。

どうやら、私以外みんなできているらしい。

みんなの視線がこちらに向く。

「お前の名前は・・・平沢かあ。」

名簿を見て確認する先生。


そして、1回うなずくと私の机の隣に

しゃがんだ。

ふわっと先生のいい匂いが広がる。

「先生が教えてやるよ。」

そう言って、私のペンを取り上げて、

一生懸命に教えてくれる先生。

そんな姿になぜか ドキドキ した。


先生の説明、1つも頭に入らない。

先生の声。匂い。手。


もう頭の中がその瞬間先生でいっぱいだった気がする。


「おい、平沢聞いてるのか!?」


先生の少し多きめな声ではっと我に返った。