天使衣の悪魔(仮)

扉が飛んだと同時に俺に向かって倒れこんでくる女。

無意識のうちに支えてた。

なのにこの女、

「キャー!」

なんていきなり大声出しやがった。

さっきまで寝てた俺には大迷惑。

イラッときた俺はそのまま支えてた手を放した。

案の定、その女は地面へダイブ。

顔面からダイブしたのが面白くて、つい笑ってしまった。


そしたらその女は怒るでも泣くでもなく、

「王子様ってこんなんだっけと?」

言った。

でも俺に言ってる感じじゃないし、なんか考え事してそうだからそれが口に出た感じだな。

だから親切に答えてやったのに、

超能力者?王子様なのに王子様じゃないって?

とか言ってやがる。

今の俺には説明できない。

ややこしいからな。

その時上がった顔。

眼の下が切れてる。

結構深いかもしれない。

治してあげてもいいけど、力が弱まってるから無駄に使いたくない。

だから、

「ペロッ!」

舐めといてやった。

ついでに絆創膏も。

なんていいやつなんだ、俺。


張り終わって、ベンチに横になり、もう一度寝た。

なんか視線感じるな…。

と、思いつつも無視することにしたのにその時発せられた名前。


「あっ!来夢だぁ。」