なぜか呼ばれている気がして、裏に行く。


そこにいる気がして・・・。


話し声がした。


この声・・・ハル・・・・・?


なんで、ハルの声が・・・?


俺は、声のする方に向かった。


そこには、膝から血を流すハルと、碧がいた。


声、かけづらい・・・。


せめてもと思い、近づいた。


「辛い・・・のか?」


その言葉に、碧はかなり動揺した。


「だったら・・・なによ・・・。言っとくけど、同情なんて―――・・」


碧が言い終わる前に、ハルが碧を抱きしめた。


長い碧の髪の毛が、ふわっと浮く。


碧が、ハルの腕の中で暴れる。


「ちょっ・・・///!何すんのよ・・・!こんなとこ誰かに見られたりでもしたら・・・あんたが誤解受けて・・・」

「別に構わないよ・・・」


いつものハルじゃない・・・。


こんなハル・・・俺は知らない・・・。


ガキっぽいのに・・・今のハルは、誰よりも大人に見えた。


「なんだろうな・・・この気持ち・・・・・。急に、抱きしめたくなって・・・。守りたくなった・・・」

「・・・知らない!離して・・・!」


「・・・嫌なんだ!お前が辛そうな顔してるのを見るのは・・・!笑ってて欲しい、さっきみたいに!」


激しい口調で言う。


碧、笑ったのか・・・?


さっき、俺のとこでは笑っててなかったのに・・・。


「同情なんかじゃない!この気持ちは、絶対同情じゃない・・・!」

「真田・・・」

「初めてなんだ、こんな気持ちになったのって・・・。俺・・・お前のこと・・・・・」


聞きたくない!


強くそう思った。


だが、ハルの声は、風のように俺の耳へ入ってくる。


「好きなんだ・・・!!」

「・・・っえ」

「好きだ・・・!俺が支えになりたい・・・。俺と一緒に欲しい!」

「そ、それって・・・・」


ハルが、手を碧の肩に置く。


そして、真っ直ぐに碧を見ていた。


「俺と、付き合ってください・・・!」


碧の顔が赤くなる。


「絶対、泣かせないから・・・!」


その言葉に、碧はコクンと頷いた・・・。




なんだ、この気持ち・・・。


友達に・・・一番の親友に、彼女ができたんだぞ・・・?


なのになんで、嫌だと思ってしまうんだ・・・?


もしかして、俺・・・・・。


俺は、その先を考えないようにして、蓋をした。