「・・・っ。もしかして・・・。あなた、さっちゃんじゃ・・・ない・・・よね?」


声が震えていないか心配だった。


思い出したくもない過去のこと・・・。


『浅岸里見』は・・・。


「・・・そうだよ、あたしだよ・・・。あーちゃん」

「・・・?」

「・・・っつ!」


やっぱり・・・そうなの?


「おい!どうしたんだよ・・・?顔真っ青だぞ?てゆーか知り合いだった?友達?」

「・・・っ!ちがう!!そんな奴・・・友達なんかじゃない」

「・・・」

「・・・?訳は知んねぇーけど、俺の彼女のことそんなふうに言うな」

「・・・!」


『彼女』?


・・・そういった時の佐伯の目・・・。


すごく怖い・・・。


「・・・っ!知んないんなら首突っ込まないで!」

「・・・はぁ?」


違う・・・。


こんなのただの逆切れだ・・・!


なんで?自分が止めらんない!


「・・もぅいい。これ以上あたしにちょっかい出さないで!」


あたしはそう言い放って、屋上から飛び出した。



ああ・・・。


もうなんの言い訳も出来ない・・・。


あたしは・・・『佐伯奏多』を好きになっちゃったんだ・・・。


でも、分かった直後に失恋とか・・・。


ありえないよ・・・。