「奏多ー?いる?」

「あ!」


ドアの方から可愛い声が聞こえた。


それに凄く反応した佐伯・・・。


・・・。


凄く不愉快な気分・・・。


なに・・・?これ?


「いるよっ!」


隣で佐伯が大きな声を出す。


「やっぱり!」


ドアの方に茶色の髪の毛が見えた。


ニコニコしている少女の顔が出てきた。


―――ドクン


鼓動が早くなる・・・。


知らない人・・・だと思うんだけど・・・。


なんで・・?


この人あたし・・・知って・・・る?


「もー!昼ご飯一緒に食べようって言ってたのに!」

「わりぃ!」


ぷくーっと頬を膨らませている子は凄く可愛い子・・・。


茶色の長い髪を、耳下のところで二つ結びしていて凄く似合っている・・・。


その子は大きな目でこっちを見た。


「・・・?奏多、その子は?」

「あぁ!うちのクラスの転校生だよ!」


あたしは軽く会釈する。


「へぇー!すっごい美少女!!名前はー?」

「え・・・」


どーしよう・・・。


名乗ったほうがいい・・・?


でも、他人と関わりたくないし・・・。


「・・・」


あたしは無言でいた。


そしたら佐伯が気を利かせてくれたのか・・・。


「あー!こいつ恥ずかしがり屋でさ!俺から言うよ!」

「あ!そうなんだ!あたしてっきり嫌われたのかと・・・」


佐伯がこっちを見てウィンクをした。


―――ドキン


・・・?


さっきあたし・・・どきって・・・!


・・・いや、まさかね。


「こいつな、えっと・・・。あれ?苗字なんだっけ?」

「えっ!?」


なにこいつ!


さっきまであんだけ読んでたくせに!!


あたしは佐伯の耳にこしょって言う。


「あ!そっか!!」

「もー!奏多ってほんとにもーだよ!」


仲がいい二人を見て・・・。


笑い合ってる二人を見て、胸が少し傷んだ気がした。


ズキッて音を立てて・・・。