「独りがいい理由・・・だったよね・・・?」

「おぁ・・・おぅ」


余りにも寂しそうな顔をして言うから、なんか聞いちゃいけねぇような気がした。


だから、ついまの抜けた返事をしてしまった。


「・・・小学生のとき・・・だったかなぁ・・・。あたし、その頃の記憶、あんましないんだ・・・」

「え・・・?なん・・・で・・・?」

「嫌なことが・・・あったから」

「・・・っ!」


記憶がなくなるぐらい・・・。


消したいぐらい、嫌なこと・・・?


「とはいっても、小五~六年の頃のだけどね」

「・・・」


俺はもう、無言で居るしかなかった。


無表情なのに、どこか寂しげで・・・。


健気で、触れちまえば、今すぐにでも壊れちゃいそうなぐらい・・・。


不安定だった・・・。


「あたしには、たった一人だけ・・・。一人だけだったんだけど・・・。友達がいた」

「・・・」


彼女は淡々と口を動かす・・・。


「あたしは昔から、なんでも思ったまま言っちゃう性格だった・・・。だから、周りのみんなを不愉快にさせることしか言えなかった・・・。いわゆる毒舌ね。でも、別に一人でもいいって思ってた・・・」

「・・・っっ」


『思ってた・・・』


そう言った瞬間、品川サンの顔が一瞬だったけどほころんだ。


「多分・・・五年生の二学期頃だと思う。急に女の子が、『なんでも言えるってかっこいい!』って言ってきた・・・。そんで、『よかったら、友達になってくれませんか?』って顔真っ赤にしながら言ってきたんだ・・・」

「うん・・・」

「変な子・・・って思ってたんだけど、なんか断りにくくて、すぐ友達になった。最初はただ、うっとおしーだけの存在だった。友達がたくさんいるのに、何かとあたしに構ってきたりして・・・。でも、段々その子と一緒にいるのが楽しくなった」

「・・・ん」

「でも・・・。六年生に上がった頃ぐらいから・・・。ピタッとその子はこなくなった・・・」

「え・・・?」

さっきまでとは比べ物にならないぐらい、寂しそうな顔・・・。


とても辛そうだった・・・。


「あきたのかな・・・?そんなことばかり考えてた・・・。なら、別にいいかって、あたしも諦めた・・・」


そこまで言うと、彼女はまた無表情に戻った。


でも、違うところがあった・・・。


それは、冷たい・・・瞳をしたこと・・・。