太陽の竜と闇の青年

これにはフウも驚いて目を見開いていた。


まさか、牙城はここまで俺たちを追いつめるとは思ってもしていなかった。


スッと牙城が手を挙げた。


「例えば……。僕が君たちと一緒にいた女の子をこれから暗殺者に殺してもらうとする。そしたら君たちは正しいことを白状してくれるのかなぁ?」


すると、フウがいきなり立ち上がって牙城の首を掴んだ。


「ふざけるなよ!!いくら一国の王だからって、ルウを殺すなんてふざけた真似すると許さないぞ!!!それでも良いって言うんだったら殺してみろよ!!ただし、貴様の命が無くなってもいいって言うんだったらな!!!!」


牙城は小さくむせた。


俺はフウを落ち着かせようと立ち上がった。


が、その行動が止められた。


グンッと強い力で元の位置に戻される。


驚いて上を見上げると、まっすぐに牙城たちを見ている空風壱の姿があった。


空風壱はフウと牙城を強引に引き離した。


「ウィン=フウ。一国の王に手を出すなんてバカな真似はよしたほうがいいんじゃないのか」


空風壱の声は低く、思わず身震いしてしまうものだった。


フウは小さく舌打ちして牙城を睨んだ。


空風壱は牙城を見下ろして言った。


「牙城も牙城だ。人を殺すなんて簡単に言うな。いくら王でも、相手の大切な人を殺すというのは失礼だ」


すると、牙城は口を尖らせた。


空風壱は二人を見ながら感情のこもっていない声で言った。


「お前らの言っている少女はウィン=ルウのことだろう」


俺たちは驚いて声を失い空風壱を凝視した。


「何でお前が、ルウのことを、知っているんだ!!」


フウが今にも突っかかりそうになりながらも叫んだ。


「ウィン=フウ。お前は、姉を大切にしすぎだ。ウィン=ルウはそれほど弱くない」


空風壱がフウを見下ろしながら言った。


しかし、空風壱の言葉は逆効果だったのか、フウが叫び声にも似たような声で言った。