途中でフウと合流した俺たちは、三人で王宮に向かうことにした。
なにやら、フウはやりたいことが終わったらしい。
「さてと……。着いたのはいいんだが、どうやって中に入るんだ?」
すると、フウがニヤリと笑っていった。
「あぁ。それなら、僕にいい考えがあるんですけど」
……不気味だぞ。
フウは絶対にルウには見せない笑顔を俺たちに向けて言った。
「まぁー、ちょっとしたコネで入れますよ」
フウが、そう言って門番のところにいった。
「……だから、……です。ほぉ。……でも、いいんですか?……だから、……です」
フウと門番の話し声が途切れ途切れに聞こえる。
「フウさんって、スゴク能力が高いですよね」
俺はジンを横目に見ながらうなずいた。
「あぁ。なんつーか、怖いほどな」
ジンは苦笑いしながらフウを見た。
それから少し経つと、フウがにんまりと笑いながら来た。
「了解が出ましたよー。これで僕たちは中に入れます」
俺は微笑しながらフウに言った。
「どうやって入れるようにしたんだ?」
フウが意地悪そうにニヤッと笑っていった。
「それ、聞くの野暮ですよー。まぁ、あえて言うなら、嘘と本当をごちゃまぜにして話たら簡単に入れたって感じですかね?あっはっはっは!!」
俺はフウを敵に回したら、瞬殺にされるな、という言葉を飲み込んだ。
「ま、まぁ、無事に入れるようになったことですし、行きましょうか」
ジンが苦笑いしながら開いた門を指さして言った。
俺とフウはうなずいて、王宮内へ一歩を踏み出した。
が、その瞬間足がピタッと止まる。
思わず剣に手が向いた。
すげぇ殺気だ。
いや、これはどちらかというと覇気かもしれねぇ……。
フワッと小さく風が吹いたと思うと、目の前に突然黒ずくめの男が現れた。
唯一、目だけがみれる黒の服を着ていた。
その服は着物とか、浴衣とかではない別のものだった。
最も気になった部分は、目だ。
男の目は餓えた獣のような鋭い目をしていた。
「空風壱…………!!」
フウが驚いたような顔をした後、睨むように空風壱という男を見た。
フウのこんな顔を見たことがなかった。
目の前にいた男は俺らを眺めてから、音もなく歩き出した。
「……ついてこいってことか」
俺が男について行くと、ジンとフウも続くように歩いてきた。
いつの間にか、さっきまで感じていた覇気は感じられなくなっていた。
あれは、一体何だったのか。
そんなことを考えていると、男の足が止まった。

