鳥のさえずりが聞こえる前に僕は起き出した。
それから、身軽な服装に着替えて、ターバンを被る。
ターバンから少しでた髪をしまい終えてから、僕は小さな金銭袋を手に取り、懐に突っ込んだ。
それから、ルウたちを起こさないようにして宿屋からでた。
外は薄暗く、怪しい雰囲気だ。
「うっわ。さっすが和国。ちょっと怖いなぁ」
僕は少しだけ身震いをしてから、スタスタと歩いた。
そして、ある森の前で足を止めた。
「この奥にあの祠があるんだな……」
僕は決心を硬め、森の中に一歩踏み出した。
「うっわ!くっら!」
森の中は予想以上に暗くて驚いた。
僕は念のためと思って持ってきたランプをつけ、手に持って進んでいった。
どれだけ山道を登ったのだろうか。
祠はいっこうに見当たらない。
「どんだけ歩けばいいんだよ……」
僕が小さく舌打ちをした瞬間、僕の足が反射的に止まった。
何か、いる……。
まるで、獲物を見据えるような目をした何かがいる。
こんなに僕がビビるなんてなかなかない。
汗ばんだ右手を服で拭いて、左手を剣に向けた。

