太陽の竜と闇の青年

その後、牙城さんと別れて、私たちは宿屋についた。


今はいろいろと話し合っている。


「あの、聞きたいことがあるんだけど……。今日の牙城さんの件、何を思い出したの?」


フウとリクが顔を見合わせた。


「あぁ。アレか。牙城がルウを女だって分かったのは、ここが和国だからだ」


リクが足を組んだ。


「ここが和国だから?」


首を傾げた私を見ながらフウが微笑した。


「うん。ここは、独自の文化を築き上げた和国なんだよー。だから、今ルウが着ている服も、他国では男性しか着ないっていうことは一つも知らないんだ。だから、ルウがズボンを履いていても特に不思議には思わなかった。それから、和国は髪が短いのが男性って決まっているらしいねー。だから、牙城はルウが女だって分かったんだよー」


なるほど……。


もしかしたら、和国は少し行動しやすい国かもしれない。


「あの……牙城さんを見ていたのですが、彼は毎日翡翠をもって歩いているわけではないですね」


ジンが手をあげて言った。


「うんうん。私もそう思った。だって、普通なら他国から旅行に来た人たちを相手にするとき、翡翠を気にするよね。でも、牙城さんはそんな行動全然見せていなかった」
これには、フウもリクも同じ意見だったらしい。


首を縦に振っている。


「つまり、牙城は翡翠を持っていない。ってことは、どこに翡翠はあんだ?」


私たちは、う~ん……と、唸った。


その時、私の首にかけてあった翡翠の中から声がした。


綺麗なうっとりする声だった。


「牙城様の王宮内に隠してあるっていう考えもありますよね?」


その声の主は、朱雀だった。


「あぁ!そういう考えもあったねぇ!」


私がポンッと手を打つのと、フウが少しだけ気むずかしい顔をしたのが同時だった。


「でもさぁ、朱雀。どうやってその王宮内に入ればいいのさー」


すると、朱雀はうふふ、と笑って言った。


「それは、あなたたちで考えてくださいな。王宮内に入らない方法も、もしかしたらあるかもしれませんから」


朱雀が話終えるのと同時に、翡翠の中にあった朱雀の絵の動きが止まった。


「確かに朱雀の考えも一理あるかもね」


私がそう言うと、リクが口を開けた。