君は今まで、その曇り無き眼で何を思い、何を感じ、何を見据えてきたのだろう。
君の心から思う人生とは、どういうものだったのだろう。
この世界を君は、どういうものに変えたかったのだろう。
自分を犠牲にしてまで守りたかったものとは、どういうものだったのだろうか。
君を最期にもう一度強く抱いた瞬間、君の体は塵となって消えてしまった。
風とともに消えてしまった。
「あらあら。まぁた壱さんのところにいたんですか?」
テルがふふ、と笑った。
「本当に、ルウちゃんったら壱さんが好きなんですからねぇ。あ、壱さん、重たくないですか?大丈夫ですか?」
俺は曖昧に笑ってうなずいた。
「子供とは……暖かいものだな」
俺の膝に座っている子供は、フウとテルとの間の子であって、俺の子供では決してない。
だが、なぜか、この子供は俺のところにやってくる。
最初は少々ウザかったものの、最近では愛おしく感じることがある。
「もしかしたら、ルウが子供になったかもしれないねー」
フウがクスッと笑って俺をみた。
フウの腕の中には黒髪に黒目の子供がいる。
フウとテルは俺の膝に座っている子と、フウの腕の中にいる子を産んだのだ。
「でも、壱さん、本当によかったのでしょうか……。ルウちゃんの名前を使って……」
俺は俯いてルウの顔をみた。
その目は汚れが一つもない目だった。
「あぁ。ルウはそれぐらいで怒りはしないし、逆に嬉しがっているだろうな」
あの太陽な笑みを浮かべて、きっと笑っている。
絶対に。
「俺も、少しばかり嬉しいしな……」
俺は小さく笑ってルウの頭を撫でた。
その髪色は光にキラキラと輝く銀色だった。
フウの髪色が遺伝として伝わったのか、ルウの髪は、きれいな銀色だった。
その髪色をフウとテルは嫌うことはせず、逆に慈しむように撫でていたことを思い出す。
「この髪色で……皆から批判されることはないのだろうか……」
俺がそう呟くと、フウが生真面目な顔をした。
「まぁ、多少はそうだろうねー……。だけど、その子ならそれぐらいで悲しむような子じゃないだろー。だって、ルウの意志があるかもしれないんだからさ」
俺は小さく笑って立ち上がった。
それから、ルウを持ち上げてテルに渡した。
ルウは俺に手を伸ばしてきたが、俺は小さく笑ってルウに手を振った。
「いつものところに行くのー?」
「あぁ」
「そっか。じゃ、気をつけてねー」
俺は小さくうなずいて城からでた。

