太陽の竜と闇の青年

「やっぱり、和国は風国に似てるよね」


私が宿屋についたとき、フウにそっと囁きかけるように言った。


フウはうなずいた。


「うん。風国っぽくて少し落ち着くよー」


「ただ、風国とは少し違う部分があるな。皆の服装とか」


リクが周りの人々を見回しながら言った。


それに気づいた牙城さんが、私たちを振り返って軽い口調で言った。


「あぁ。そっか。他国の人はこの服のことは知らないんだっけ。これは、和国が独自に作り上げた着物というものだよ。ちなみに、着物は、男性女性と分かれて作られているんだ。あ、あそこのおじいさんが着ているのは、モンペっていうものだよ」


キモノとか、モンペとかよく分からない単語がたくさんでているけど・・・。


「すごくきれいな服だよね」


本当にそう思った。


私の言葉を聞いた牙城さんがキラキラした目で私を見た。


「やっぱり分かってくれたか!!君なら分かってくれると思ってたよ!!だって、君は女性だもんね」


……え?


私たち一同は、ピタッと足を止めた。


牙城さんはそんな私たちを何事かという様に見ている。


「牙城さん、さっき何って言った?」


私が笑いながら聞くと、牙城さんは首を傾げた。


「やっぱり分かってくれたか」


「もう少しあと」


「君なら分かってくれると思ってたよ」


「後少し」


「だって、君は女性だもんね」


「「そこだー!!」」


私たちの声が重なった。


牙城さんは驚きで目を見開いていた。


「え、何?僕、変なこと言ったっけ?」


リクが、牙城さんの前に行って、訪ねた。


「変なことを聞くが、なぜあんたはルウが女だと思ったんだ?」


牙城さんは、素っ頓狂な声を出した。


「だって、明らかに女の子だろ?声も高いし、線も細いし凛々しい顔立ちをしてるし、髪だって長い」


フウも牙城さんにつかみよる。


「それだけで女ってわかるもんなの?」


牙城さんは、首をすくめた。


「うん。分かるよ。だって、和国には髪をのばしているのは女性だけなんだし」


フウとリクは何か思い出したのか、牙城さんから離れた。


「えっと、話はもういいのかい?」


そんな二人を見た牙城さんが頭に「?」をたくさんつけて聞いた。


「あぁ。取り乱してすまなかったな」


リクが代表でそう答えると、牙城さんは柔らかく笑った。