太陽の竜と闇の青年

ただの好奇心だけで。


「ウィン。ウィンは今、何を考えているんだ?」


ウィンはゆっくりと自分に目を向けた。


そして目を閉じてゆっくりと語りだした。


それは物語を読んでいるような語りだった。


「君たちが来たのは私の存在はこんなにも単純だと笑いに来たからだろ。耳を塞いでも、イヤな言葉は聞こえてくる。私のこの体のどこに力を入れて立てばいい?……何もかも壊してしまう激しさだけがあるんだ。私はどうすればいい?私の代わりがいないなら普通に流れてたあの日常をこの手で終わらせたくなる。それはきっとなにも悪いことじゃないと思うから」


自分は息を呑んだ。


ウィンの目は今までにないぐらい暗く、深かった。


ウィンは頬杖をついて自分たちをみた。


そして、ウィンはボソリとつぶやいた。


「力無きこの腕では、全てを守ることは出来ないんだ。私だって想いはある。想いだけは皆よりも強いと思っている。だけど、そう叫んでも虚しく風に吹き飛ばされるだけなんだ。だからせめて私の手でこの世界を終わらせようとしているんだよ」


白虎は腕を押さえながら変わり果てたウィンを睨んだ。


「我が主は残酷な人になった」


そう言った言葉にウィンは驚くほど食いついた。


「残酷な人に「なった」?君たちが私を残酷にならせたんじゃなくて?ずっとずっと私は独りで生きてきた。だけど君たちは独りではない。私は独りの時、ずっとずっと考えている。何で誰も助けてくれないんだ。苦しくて、悲しくて、悔しくて、なにもかも許されずになにもかも失うだけで毎日を生きてきた。辛すぎて、憎すぎて、虚しくて、消したくて、なにもかも投げ出して飛び出して喚き叫んでいた。だけど、君たちは何も知らずに幸せそうに生きている。私は何も言わずにそれをただ視てるだけ。私はそして気づいた。所詮は何も生み出さないんだ。ねぇ、私の生きる価値はなに?私は何のために戦ってたの?この辛さ、この憎さ、許さない、許せない、この気持ちをどうしてくれるの?もう、疲れたよ……。ねぇ、私は救われる?」


白虎と自分はウィンを凝視した。


ウィンは顔を手で覆った。


「もう、訳が分からないんだよ……。私自身が何をしたいのかも、皆が何をしてほしいのかも……。もう、何もわからないんだ……」


ウィンの目からツーと透明な滴が落ちた。


それはウィンに久しぶりに出会って初めての涙だった。


ずっとずっと我慢してきたんだ。


ドロドロとした感情に堪えて、自分たちの前では決して弱さを見せないように、自分は弱くないと自分に言い聞かせるように、そうして今までウィンは孤独の神として独りで生き続けたんだ。