太陽の竜と闇の青年

「へぇ……」


「すごく現実的で、でもウィンではないウィンがいるらしい。だが、壱の知っているウィンはジャリスだから、夢にでてくるウィンっていうのはジャリスじゃなくて、本物のウィンじゃないかって思うんだ。現に、壱の話を聞いていたらティーブンのような人もでてきていたんだ。だから、壱は夢の中だがウィンを覚えているんじゃないかと思うんだ。ジャリスではなく本当のウィンを」


白虎はピタリと日記を動かしていた手を止めた。


「なるほど……。それは興味深いな……。すまないがシルバ。そのことについてもう少し詳しく壱に聞いておいてくれないか?」


自分はうなずく。


白虎は牢から逃げてきた身だから、壱に会うことは困難だ。


しかも壱たちには白虎は出かけているということになっている。


だから、和国内での調査は自分の仕事になっていた。


その分、少しだけ仕事を遅れるけど慣れてくればさっさと仕事ができるようになっていた。


「ところでここをみてみろ」


白虎が指定しているページをみてみた。


ウィンが独立してから十日目の日記だった。


「目覚めないと……。だけどココハドコ?だるく息を吸い込んで、それからどこかを睨んで吐き出す。それが無駄だと気づいて髪を切った朝に自由を失って片目を失った。最悪。……神様、ただ無知な私に愛をください。吐き出すほどに。光なんていらない。きっとまぶしすぎて目を潰してしまう。広い、広い、空に烏が羽ばたいた。私も飛びたい。高く高く飛んで、誰もいないところまで行って孤独になりたいよ。私はどこまで無力なの?」


自分は日記を読んだ後、頭に髪の短くなり片目しかなくなったウィンの顔が思い浮かんだ。


「片目を無くしたのも髪を短くしたのも自分の意志なのか?独立の神になったからではなく?」


白虎がうなずいたのをみて、自分はため息をついた。


「白虎、自分は分からないんだ……。なぜウィンがここまで自分を犠牲にする必要があるのか……。初めはただウィンがお人好しだからだと思っていたが、ここまでくればそれは間違いだと気がついた。一体何が原因でウィンは自分を犠牲にしているんだ?」


白虎は自分をみている。


静かに、ジッと。


四神の中でも最年少とだけあるのか、人を観察する力は誰よりもあるようだ。


幼児が大人の感情に敏感なことと同じだ。