太陽の竜と闇の青年

「そこ退いておいた方が身のためだ」


冷静な声に自分たちはさっとその場から飛び退いた。


その瞬間、窓ガラスが割れ、誰かが入ってきた。


「テン。何度いったら分かるんだ」


ウィンが冷ややかな目ではいってきた人物を見据える。


入ってきた人物は自分もよく知る、真っ赤な髪をした女の子だった。


「申し訳ありません。今日は少々機嫌が悪いもので」


テンは結んだ長い髪を邪魔くさそうに後ろにピンッとはねのけ、ゆっくりと顔をあげた。


その「目」に自分たちは言葉を失った。


「なぜ……」


白虎が呆然と呟く。


自分はゆっくりとウィンをみた。


ウィンは素知らぬ顔で立っている。


自分はウィンの腕を掴み、顔をこちらへ向けさせた。


長い前髪をのけると……。


「なぜだ!!なぜおまえの「片目」がないんだ!!!!」


自分はウィンを睨んだ。


「あぁ、視てしまったか」


ウィンはあざ笑うかのように声を発した。


「それにしてもなぜお前がキレる?自分の「目」をどうしようとも、それは私の勝手だろう?」


ウィンの開かれた片目の中には眼球がなかった。


そのかわりに、テンの片方の目はウィンと同じ白銀色の目をしていた。


「納得がいかない。たかが餓鬼のために片方の目を無くすなんて滑稽な笑い話だぞ!!」


すると、息苦しい感覚におそわれた。


ウィンが自分の首を絞めている。


しかも、ウィンの髪が白銀から赤色に変わってきた。


「それをやらせたのはどこのどいつだ?貴様等と同族の人間だぞ?責任転換も甚だしい。それにテンは私の侍従だ。テンも私と同じように孤独の侍従だ。自分の侍従を可愛がるのはそんなにもいけないことなのか?」


窓ガラスがミシミシと音を立て始めた。


周りの物はもう割れたりしている。


「第一誰がそうしたのか、お前のその空っぽの頭でよく考えろ。少しばかり私と話せるようになったからといって調子に乗るなよ」


パリーン!と音がして、すべての窓ガラスが割れてしまった。


自分は背筋が凍えてしまった。


ウィンの暗く沈んだ闇の世界をみてしまったから。