俺はシルバの肩を掴んだ。
シルバは俺の質問に顔を暗くして頭を横に振った。
嫌な予感がした。
「ウィンは……自分を失ってしまっている。その内、精神を保つことも難しくなり、暴走してしまうかもしれない。現に今、不安定な状態が続いている。それでも、ウィンは皆を見守っていたいのか、噴水に毎日座って、楽しそうに笑っている皆の顔を……憎悪の目で睨んでいるんだ。皆を守りたいと思う自分と、皆を殺したいと思う自分が存在して、その間で葛藤しているのが今のウィンだ」
俺の心にその言葉が重くのしかかった。
あの時、意識を失うなんてことしなければ……少しは変わっていたのかもしれない。
「これから我が主に会うことはできるのか?」
「できる。そのつもりで、白虎を助けたのだから」
シルバは先々進んでいく。
俺は道が今一つわからないから、シルバについていくしかなかった。
「自分が白虎の居場所が分かったのは、ウィンがそう言ったからだ。地下にいると言ったからだ」
俺は早く我が主に会いたくて足を速めた。
少しでも我が主を安心させたかった。
「後、二つ白虎に言うことがある。まず一つ目だが、ウィンは孤独の神になった」
俺は眉をひそめてシルバをみた。
孤独の神……?
っていうか、神?
「意味が分からん」
シルバは長々と説明をしてくれた。
その中でも、我が主がどれほどの思いを秘めているのか、ありありと分かった。
孤独の神……。
それは俺でもあまりしらない隠された神だった。
それほど大変な神を、我が主は引き受けたのだ。
お人好しではなく、自分が皆を見守りたかっただけで。
「二つ目。ウィンの逆鱗に触れるな。殺されるぞ」
俺はピタリと足を止めてしまった。
シルバの顔があまりにも恐々として、恐ろしいものをみるような目をしていたからだ。
我が主はそんなにも墜ちてしまったのか?
シルバが不思議そうに俺をみた。
「どうした?」
俺は首を振った。
「なんでもない。止めてすまない。早くいこう」
そう。
早く行かなければならないのだ。
会ってからでも我が主の様子は分かる。
だが、ここでもし、ジャリスに会ってしまったら……。
俺は終わりだな。
そんな不安を心に終い込み俺とシルバは城から飛び出した。

