太陽の竜と闇の青年

・白虎・


「おい!ヤバイぞ!壱の精神が崩れる!誰か早く助けるんだ!!」


俺がそう叫ぶと、朱雀がバッと動いた。


「とにかく、主から壱様を離しましょう。でなければ、壱様の精神は崩れ、壱様自身崩壊してしまいます」


朱雀の的確な指示に俺たちは急いで二人を引き離した。


壱は、ズルリと気が抜けたように地面にヘタリ込み、ルウへと手を伸ばした。


それはまるで、イコがトゥーナを殺したところを目撃したときと同じ様だった。


「ルウ……ルウを返してくれ……。白虎、白虎はどこにいる……」


俺が壱に近づくと、壱はガシッと俺の手を掴んできた。


その腕力は恐るべきもので、ズキズキと腕が痛んだ。


「ルウを殺したのは誰だ?誰なんだ?」


俺は顔をしかめながらも頭を振った。


「ルウを殺したのはきっとイコだろう。だが、元凶はナエリア=ジャリスだ」


朱雀たちが頭を振った。


「そんな馬鹿な!!」


「白虎、いくら貴方でもジャリスを馬鹿にするのは許せません!!」


「我らの恩人だぞ!」


俺は三人を睨んだ。


「じゃぁ他に誰がいるというんだ!!!トゥーナもイコも死んでいる!!これを仕掛けたのは、我が主の体を必要としているジャリスの仕業だ!!!この目でしっかりとみたことを嘘だというのか!!!!!」


初めて三人が聞く俺の怒号に皆黙り込んでしまった。


「見てもいないのに、我が主とジャリスのことをよく話していないのに……わかったような口を聞かないでくださいよ……」


俺が苦し紛れにそういうと、壱の腕を掴む手がズルズルと弱くなった。


「そうか……。ジャリスか……」


そうブツブツと呟いていた。


そのとき、湖から竪琴の音がした。


そして、靄の中からスーとでてきたのは……。


「ジャリス……!!」


俺がギリッと歯をならした。


ジャリスは楽しそうに笑っていた。


「あぁやっと終わりまできたのですか?イコはよくやりましたね。私がルウを殺す必要がなくなりました」


俺はジャリスを睨む。


ジャリスの目がゆっくりと俺へと移り、そして、壱へと移った。


その瞬間、ゾワッとした感覚に襲われた。


俺はゆっくりと壱をみた。


壱の目は怒りに怒って黒光りしていた。


真っ赤な目が血の色にみえた。