太陽の竜と闇の青年

「まさか……イコと本気で戦うときがくるとは思ってもしてなかったなぁ……」


私たちはゆっくりと立ち上がり、向かいあった。


「だけど、私だってまだ死ねないんだ……」


「イコ、トゥーナ様の敵、討つ!!」


私とイコの視線が交差したとき、決着が訪れることになるだろう。


「うあああああああああ!!!!」


「やあああああああああ!!!!」


シンシンと雪が降り注ぐなか、私たちは立っていた。


雪は私たちを守るかのように振ってくる。


やがて、ねっとりとした感触に襲われた。


……これはイコの血だ。


私はゆっくりと剣から手を離し、イコからも離れた。


私がイコをみると、イコは笑っていた。


「これで……きっと、よかった……」


イコはフッと息を短く吸うと、空を見上げた。


「イコも、トゥーナ様のとこ、いける……」


そして、また視線を私に向けて、柔らかく微笑んだ。


その瞬間、イコの目からHMDがカシャッと音をたてて落ちた。


とても綺麗で澄んだ泉のような青色だった。


私が息を呑むと、イコがフワッと私を抱きしめた。


「泣きそうな顔、しないで?イコは……イコは、ルウに殺されてよかった……。ルウに命を捧げるのなら、イコは、後悔していない。……本望だ」


自分の頬に涙がこぼれるのがわかった。


いやだ……いやだ……。


そんな言葉、聞きたくない。


「ありがとう。ルウ。イコを助けてくれて。イコに生きろって言って……イコを生かしてくれて……。イコに愛をくれて、ありがとう。ありがとう。ルウ。イコは、ルウがいて生きる喜びを知った。ありがとう。ルウ。そしてさようなら……。次に会ったときは、イコがルウを助ける……から……ね……」


ずるりとイコは倒れてしまった。


その瞬間、冬の寒さを感じた。


私は震えながらイコを仰向けにした。


「ごめんね……。ごめんね……イコ……」


イコは私を頼ってくれた初めての人。


私に存在理由をくれた人。


そんなイコを……私が殺してしまったんだ。


……なんてことを……。


殺すしかなかったのかな……。


神よ、これがあなたの望んだ運命だというのか。


「あああああああああああああああああ!!!!!!!」